自由を目指す皆さんこんばんは。地方医療を支えるアラフィフ勤務医おれんじ髭です。
飛行機の中での出来事
さて、みなさん、飛行機に乗っているとき、客室乗務員さんが
『お客様のなかにお医者様はいらっしゃいませんか?』
って声を張り上げている場面にであったことありませんか?
もちろん、皆さん、さっそうと『患者さんはどこですか?』と手を挙げて
彼女に近寄っていきますよね?
『お医者様ですか?ありがとうございます。あちらです。』
目の前には、じっとりと冷や汗をかき、青白いいろをしたサラリーマン風男性。
呼吸は浅く意識も朦朧としている。
『大丈夫ですか?』『息が、、でき、、ません。』
これは一刻をあらそうな。肺塞栓?緊張性気胸?心筋梗塞?
『客室乗務員さん、聴診器ありませんか?』 聴診器を耳にあてがうと
むむ?右肺の呼吸音が消失している。打診で右肺は鼓音が亢進している。
橈骨動脈は微弱。意識も消失しかけている。
これは、着陸までは待てないか。やおらボールペンの中を抜き、バキッと半分におり
消毒薬で可能な限り滅菌して右肋間より半分に折れたボールペンを刺したやいなや、
『プシュー』
よく振ったコカ・コーラを開けたような勢いのいい音を立て空気がドレナージされた。
『なるべく早く着陸をお願いします。』
こんな、江口洋介のような対応ができればレジェンド級の医師ですよね。
![](https://www.illegaldial696.space/wp-content/uploads/2023/02/wtr0053-024-1024x768.jpg)
現実は、、、。
もう10年以上前の話。研修医のとき同僚と東京帰りの飛行機に乗っていた僕。
『お医者様はいらっしゃいませんか?』客室乗務員さんが声を張っている。
同僚と顔を見合わせる。
『どうする?』『えっ?』『いったほうがいい?』『だれか他にいるんじゃない?』
心理的に5分、実際は1.2分であったのではないかな。
『いこう!』どちらが引き連れたわけでなく
正義感を振り絞り、若き研修医は心配げな顔を浮かべながら現場に向かっていった。
現場に着くとなんとすでに急患さんに対応している医療者の姿が。
(田舎の飛行機はなかなか医者の搭乗率が高い。)
『野次馬のかたは集まらないようにお願いします。』
って客室乗務員さんより。
ちょっと遅刻しただけなのに、、、。野次馬って。
医師に対し,機内のドクターコールに応じるかというアンケート調査をしたところ,
回答した758人中,ドクターコールに応じると答えたのは34%,応じないは17%,
その時になってみないと分からないが48%とのことでした。
まとめ
色々と世知辛い世の中ですが、目の前に困っている人を助けるっていうのが初心だったはずです。
ただ、無防備に良心のみで医療を提供するのはリスクが高い。
10000件のうち9999件はうまくいくでしょうが、1件でもうまくいかないと
医療を良心で提供する側、提供される側双方に大きな傷を作ります。
適度なリスクを取りながらバランスよく医療していきましょう。
ちなみに投資をすることで最適なリスクの取り方、
リスクとの対応の仕方について俯瞰的になります。
コメント